Synchrotron Lightsource

放射光とは?

 

電子加速器が生み出す、高輝度、高指向性のX線などの電磁波
肉眼では見分けられない物質の性質を明らかにする光

放射光の発生原理動画

放射光:電子をほぼ光速まで加速し、電磁石等によって進路を曲げられたとき、接線方向に放たれる強い電磁波 (X線)のこと。 蓄積リングを周回する電子は、直線部に置かれた挿入光源によって蛇行運動する。 蛇行の度に放射光が発生し、増幅され指向性の高いX線となって取り出される。

次世代放射光施設とは?

官民地域パートナーシップによる 次世代放射光施設の推進

 学術、産業ともに高い利用ニーズが見込まれ、 我が国の産学官の研究力強化と生産性向上に貢献する次世代放射光施設は、 官民地域パートナーシップによる最先端の大型研究施設のリーディングケースとなるもの。

(平成30年12月17日 文部科学大臣 記者会見より 整備着手に向けた予算措置に際して)

国側の整備運用主体】
  • 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 (量研機構/QST)
【パートナー】
  • 一般財団法人 光科学イノベーションセンター(PhoSIC)
  • 宮城県
  • 仙台市
  • 国立大学法人東北大学
  • 一般社団法人東北経済連合会

NanoTerasu & Other Light Sources

光源性能:次世代放射光施設と既存施設

“NanoTerasu” の光源性能の達成には、日本がこれまで投資してきた世界に誇る加速器・光源・X線光学技術が集められ、役立てられています。

※ 輝度とは放射光の明るさ。輝度が高いと、様々なものがよりくっきりと見える。より短時間で、より微小な領域を、より詳細に観察できます。

land scape2

History

整備状況

  • 2018年6月  地域パートナー選定
  • 2018年9月  量研機構及び地域パートナーとの間で連携協力協定締結
  • 2019年度~  量研機構側は加速器の整備、地域パートナー側用地整備開始
  • 2021年12月  基本建屋への加速器搬入開始
  • 2022年6月  施設の愛称発表「NanoTerasu」
  • 2023年3月  基本建屋の竣工
  • 2023年度中  ファーストビーム(施設の稼働)
  • 2024年度   運用開始の見込み

Beam Lines

国およびパートナーが整備するビームライン

NanoTerasuでは、28本のビームラインを整備することができます。
運用開始までに、国・パートナー併せて10本のビームラインを整備する予定です。

National Beam Lines

【国が整備するビームライン】
光源性能を活かし、学術の先端を開拓

National Beam Lines Lineups  
 
Beam Lines by Partners

【パートナーが整備するビームライン】
7本で、感染症対策、脱炭素社会の実現など社会課題の解決に向けた
産・学 の研究開発支援の役割を担う

Coalition Beam Lines Lineups  
 

Giant Microscope to Generate Innovation


分野を問わない利活用(例)

The usefulness of synchrotron light is limited only by our imagination.
放射光の有用性は私達の想像力によってのみ制限される
— Sir Gustav Nossal, Reshaping Life—

 放射光科学の粋を結集した測定法は、 元素分布、化学結合状態、電子状態、分子配向、結晶構造分布など様々な性質を調べる事を可能にします。
次世代放射光施設では、物質や生命の "機能を可視化" することより、研究開発の仮説検証のサイクルを加速します。

軽元素の分布や状態が直接的かつリアルタイムで可視化

食の安全と高付加価値化の実現

  • 食品に含まれる微量の元素分布や蓄積過程の可視化、果実の通道組織の可視化が可能
  • 食品の栄養素研究や栽培法の確立につながること が期待されている


提供:矢代航ら
 

高いコヒーレント性を用いた非破壊の品質管理

デバイス内部のナノの欠陥を見る

  • 動作不良の原因となる深さ方向のナノスケールの配線の欠陥を非破壊で可視化が可能
  • さらにAI技術と融合して、これまで見つけることが 難しかった欠陥を診ることも

提供:高橋幸生ら

軽元素からなる組織の可視化
医用材料の生体適合性解明

マウス脳内の神経網構造を自然に近い形で観察

  • コヒーレントX線を用いることで、脳や細胞のように結晶化できない試料も薄切片にすることなく、丸ごと三次元的なイメージングが可能

電子のスピンが見える(偏光で磁気分布を可視化)

超強力な磁石を創る、
スピントロニクスメモリの製造を最適化する

  • 磁石のN極とS極を見分け、高性能なのデザインが可能に。(下図)
  • デバイス中の0.8nmの酸化膜の電子状態を光電子分光で分析、成膜プロセスの影響を特定。

機能に関わる電子状態の変化をリアルタイムで可視化

燃料電池の白金触媒の酸化還元反応を「その場観察」

  • 燃料電池内部の白金触媒の酸化還元反応を発電しながら観察可能
  • 電池の材料が劣化する要因を突き止めることで、コストを下げることが可能

触媒の機能をナノで創る

触媒粒子の一粒一粒について、化学状態を三次元マッピングしたデータの計測が短時間で可能。 多次元の大容量データを扱う情報科学との融合によって、ナノスケールでの反応機構の理解、そして機能のデザインへ

壊れを科学する

放射光CT計測を用いて、ナノスケールの欠陥の動態を可視化することで、 ものが壊れるメカニズム解明と、壊れを科学してデザインする段階へ。

Synchrotron Structure

Data-driven, Data as a Boundary object

データ駆動、サイバー/フィジカル空間の接続、そして異分野融合...

 不均一、非定常、階層構造等の複雑な構造。
それらは、多くのモノや生き物の機能にとって本質的に重要です。
NanoTerasuは、それらを可視化し、データ化します。

 しかし、複雑で多次元のデータは、時として人間の直感的理解の能力を超えます。

 そこでは機械学習など人工知能による本質的なパラメーターの抽出などのデータ駆動型の演繹的なアプローチが有効です。
また、データをシミュレーションの入力とすれば、 サイバー空間の中で仮説の検証など帰納的なアプローチも可能になります。

 NanoTerasuがでしか得られないデータがある。

だから、分野を超え、官民の垣根を越えて研究者・技術者が集い、 そこで生み出されるデータ駆動の異分野融合の力で 技術的に難易度の高い社会課題を解決していく。
そのような研究環境を官民地域が一体となって作り出したいとNanoTerasuは考えています。

NanoTerasuでデータ駆動型研究を(イメージ動画:PhoSIC youtubeチャンネルより引用)

Coalition Concept

地域パートナーが実装する
"コアリション(有志連合)コンセプト"

企業や研究機関がコアリションメンバー(有料)になると
  1. 放射光の勉強は不要。多彩な分野のアカデミアとマッチング可能
  2. ユニット内で開発情報を管理
  3. 競争領域では、ユニット間で健全な競争
  4. 協調領域では、成果を基に新たな連携構築

Coalition Concept

※ このコアリションコンセプトでは、一対一の産学連携による次世代放射光活用だけでなく、必要に応じて分析会社の有料サポートを受けることも可能です。

研究開発に集中するために
  • 専門的な課題審査は不要
  • 毎月利用予約が可能
  • 計測データ、 成果はメンバーが専有
  • 協調領域では、成果を基に新たな連携構築
Beam Lines by Partners コアリションメンバーには、担当コンシェルジュを配置
  • ユニット形成のマッチング
  • 専門的な研究内容
  • 研究のプロジェクト化
  • ビームライン利用・活用
  • 予約や手続き
に関するご相談に対応

Ecosystem

リサーチコンプレックスの形成に向けて

多彩な産学が集い、異分野融合を促す

イノベーション
エコシステム
の創出


Coalition Concept

Site Information

Access

首都圏、関西圏から2時間以内

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Players

Link

次世代放射光施設の整備・運用は、国の主体を量子科学技術研究開発機構 QST、 民間・地域側のパートナーを、光科学イノベーションセンター PhoSIC(代表機関)、宮城県、仙台市、東北大学、東北経済連合会の5者 とした官民地域パートナーシップ(詳しくはこちら)によって行われています。